負は、正の世界と負の世界を入れ替える因子である。
Q氏とR博士の会話1
Q「なぜ負に負を掛けると正になるのですか?」
R「ゆっくり確認していこう。まず、正の世界に正の数を掛けたら正になる。」
Q「納得します。」
R「では、正の世界に負の数を掛けたらどうなるかな?」
Q「負でしょう。」
R「そうだ。正の世界から見たら、負の数を掛けることで世界が反転するのだ。」
R「では負の世界から、世界を反転させる負の数を掛けたらどうなるかな?」
Q「負の反転は正ですから、正です。」
R「その通り。なので負に負を掛けると正なのだ。」
Q氏とR博士の会話2
Q「正の数に、正を掛けたら正になるのですよね。」
R「そうだ。」
Q「負の数に、負を掛けたら正になるのですよね。」
R「そうだ。」
Q「自分の世界の数同士をかけたらどちらも正はおかしくないですか?」
Q「正×正=正に、負×負=負になるのが、道理でしょう?」
R「その通りだ。君の疑問は全く正しい。だが、人類の都合で決められてしまったのだ。」
R「正の数しか無かった頃、人類は”正×正=正”を基準にした。その後に”数”を負に拡張したのだ。」
R「負の数に広げても”正×正=正”を保ちつつ、”正×負=負”または”負×正=負”になるように拡張したいと考えた。」
R「そう制約したから、”負×負=正”となってしまったのだ。負は正の世界と負の世界を入れ替える因子である、と。」
Q「なるほど。もし仮に”負×負=負”を基準に選んでいたら、正の数が正の世界と負の世界を入れ替える因子となるわけですか。」
R「その通りだ。負×負=負”を基準とするならば、”正×負=正”または”負×正=正”となり、”正×正=負”になる。こういった世界を作ることも可能なのだ。」
R「どちらの考え方も間違いではない。なぜ負×負=正なのかの理由を突き詰めるならば、『正×正=正に選んだから』だ。」
Q「ならば、無理やり”正×正=正”と”負×負=負”を満たすように強引に数学を組み立てたら、”正×負”はどうなるのでしょう?」
R「未定だ。定義できない。正×負の単位を数えるための、新たな数の拡張が必要になるだろうね。」