Processing math: 100%
ブラケット記法の操作

ブラケット記法の操作 #

本稿では、量子力学で登場するブラケット記法の扱い方について記載します。 ブラケット表記の詳しい説明はせず、どのような操作ができるか?に焦点を当てます。

1. 関数の表現 #

ψ(r)=r|ψψ(p)=p|ψ

|ψ: 特定の基底による表現を用いない状態の記述1
ψ(r): 位置の表示による状態の記述 ψ(p): 運動量の表示による状態の記述

2. エルミート共役 #

演算子ˆAのエルミート共役をˆAと表し、を用いてエルミート共役を表現します。 また、ˆAの複素共役をˆAと表し、 を用いて複素共役を表現します。

エルミート共役を作用させると、演算子やブラ、ケットに対し下記のような作用をもたらします。

|ψ=ψ|ψ|=|ψ

(ˆA)=ˆA

(ˆBˆA)=ˆAˆB

(ˆA|ψ)=ψ|ˆA

(c1|ψ1+c2|ψ2)=c1ψ1|+c2ψ2|

(|ψϕ|)=|ϕψ|

(ϕ|ˆA|ψ)=|ψˆAϕ|=ψ|ˆA|ϕ

(ϕ|ψ)=ψ|ϕ

c1,c2: スカラー

演算子ˆAの逆演算子ˆA1が存在するならば、次の関係式が成り立ちます。

(ˆA1)=(ˆA)1

3. 恒等演算子の挿入 #

状態|ϕが完全系を成すならば(または完全系であるための条件として)、恒等演算子ˆI

ˆI=dϕ|ϕϕ|

と書き表すことができます。恒等演算子は演算に影響を与えない、いわば掛け算の1に相当するので、式の任意の場所に挿入することができます。

完全系をなす状態|xを考えますと、例えばϕψの内積を考えたとき、下記のような様々な変換が可能です。

ϕ|ˆA|ψ=ϕ|ˆAˆI|ψ=ϕ|ˆA(dx|xx|)|ψ=dxϕ|ˆA|xx|ψ

上記のような変形や、ˆAの前にも追加して

ϕ|ˆA|ψ=ϕ|ˆIˆAˆI|ψ=ϕ|(dx|xx|)ˆA(dx|xx|)|ψ=dxdxϕ|xx|ˆA|xx|ψ

など様々な変形が可能です。もし、xが位置を表しているならば、x|ψ=ψ(x)と状態|ψの位置表示なので

ϕ|ˆA|ψdxdxϕ(x)A(x,x)ψ(x)

となります。A(x,x)x|ˆA|xと置きました。